エンディングではニールが一人ステージに現れ、おもむろにギターを取り出し“The Old Laughing Lady”を誰も居ない客席に向かって歌いだす。カメラはニールの右後ろから撮ってる。静寂の中で歌う後ろ姿にNeil Youngの音楽史を垣間見ることができた。この何ともいえぬ感動のシーンにジーンと来た。
仙台在住の友人、阿部氏がご自身のブログに『HEART OF GOLD』の感想を書かれていました。
彼は、あの台風の中、仙台から車で観にいらっしゃったのです。
以下、ご了解を得て掲載いたします。
この『Heart Of Gold』がどういう映画かというと、ニール・ヤングという人が、(当時の新作)『Prairie Wind』のプレミア・ショーとして、ナッシュヴィルのライマン・オーディトリアムで行なったライヴのドキュメント。とはいえ、冒頭、ニールを始めとする各バンドメンバーの一言コメントがあり、あとはひたすらライヴシーンを映し出す。因みに監督はジョナサン・デミ。
ライヴは二部構成で、第一部は『Prairie~』から収録順に全曲、二部は所謂「ニール・ヤング・クラシック」で、主に『Harvest』『Comes A Time』『Harvest Moon』からの曲。ファンの方には言うまでもないが、全編アコースティック編成である。
映画の最後、「for daddy」というクレジットが映し出される。途中のMCでも、二ヶ月前に実父が亡くなった事に触れている。『Prairie~』共々、その父に捧げるものであったことは明白だ。しかしこの映画には、それ以外の「父」も登場する。それは例えばハンク・ウィリアムスであったり、ライマン・オーディトリアムであり、ナッシュビルであり、「This Old Guitar」であり。またライヴ中、時々虚空を見つめるニールの視線の先々には、語られる事の無い父(=歴史)の存在があったのかも知れない。
もうひとつ、ニールの視線の先には常に「未来への希望」がある。彼が常に若い世代に対し希望を持ち続けていることは、例えば「Hey Hey, My My」や、『Mirror Ball』、最近だと一連の『Greendale』プロジェクトからもはっきり伝わってくる。この、過去への敬愛と未来への希望、これを縦軸としときますね、一旦。
人それぞれだろうが、個人的ハイライトは「Harvest Moon」。最後、「~I'm still in love with you」と歌ったところで、バッキング・ヴォーカルを務める愛妻ペギさんに視線を送る。「判ってるわよ」と言いた気な微笑みを返すペギさん。ここで感動できるのはニールファンの特権だ。勿論他にも見所満載。映像作品としては、シンプルだが、実に巧妙な作りなので、何度観ても飽きないと思う。